自立と聞いたらどんなイメージをもつでしょうか。
自立とは「自分の頭と足を使って人生を歩んで、いざという時は誰かを頼ることができること」だとわたしは考えています。
この記事は、①一般的な「自立」②一般論を受けた「自立」の考察の2本立てで「自立とは何か」について解説されています。
「自立とは何か意味を知りたい」
「自立について考えた人の文章を読みたい」
こんな方にはお楽しみいただけると思います。
目次をタップすると好きなところから読むことができます
自立とは何か|一般的な4つの自立の意味
ここでは、一般的に言われる「自立」の意味と4つの自立について解説しています。
まずは一般論を知ることで、頭の中を整理しましょう。
自立の意味
厚生労働省『自立の概念等について』によると、自立とは「他の援助を受けずに自分の力で身を立てること」を意味すると書かれています。
また、福祉の分野では、
「自己決定に基づいて主体的な生活を営むこと」
厚生労働省『自立の概念等について』
「障害を持っていてもその能力を活用して社会活動に参加すること」
厚生労働省『自立の概念等について』
という意味もあります。
一方、一般的に言われる自立には4種類あり「経済的自立」「社会的自立」「身体的自立」「精神的自立」がこれにあたります。
経済的自立
経済的自立とは、「他人から金銭的な援助を受けることなく生活できる状態」のことを言います。
「自分で働いて収入を得ること」や「自分の稼ぎで生活費を払えること」などがこれにあたります。
「自立した大人」で最もイメージされやすいのが、この「経済的自立」かもしれません。
社会的自立
社会的自立とは「日々の生活や公共に関心をもって社会参加している状態」のことを指します。
「会社や家庭での良好な人間関係を築くことができる」などがこれにあたります。
社会の中の自分の役割を理解していることと言い換えてもいいかもしれません。
これもまた、「自立した人」でイメージされやすい考えの一つですね。
身体的自立
身体的自立とは「生活に必要な身体的動作を他人に頼ることなく自分で行える状態」のことです。
例えば、自分で食事ができたり、お風呂に入ったりできることを指しています。
また、家庭科の分野では、身体的自立のことを「生活的自立」と呼んでいます。
精神的自立
精神的自立とは、「自分の人生に責任をもち、自らの意思で行動を選択できる」「自己実現に向けて課題解決ができる」状態のことを言います。
思い通りに行かないことがあったとしても、自分が決めたことに責任をもち、次の課題に生かすことができるのが、精神的に自立した状態と言えます。
「自責思考ができる」や「問題解決能力がある」と言い換えると分かりやすいですね。
「自立と共生」
自立とは一人で生きていけることかと言われると、一概にそうとは言えません。
自立と共生はセットで考える必要があります。
自立とは他者に依存しないこととも考えられますが、何も頼っていけないというわけはありません。
ひと昔前であれば「人に頼らずなんでもやりなさい」という自立観が主流でした。
しかし、社会が成熟するとともに「一人ひとりちがうのだから、必要なときは社会の中で助け合う」という考え方が認められるようになってきたように思います。
誰かとともに生き、時に誰かに必要な支援を求め、主体的に人生を生きることも「自立」ととらえることができるのではないでしょうか。
自立とは「時に誰かを頼って生きること」|「自立」の考察①
ここでは、著者が自立について考察した内容になります。
ご自身の考えと照らし合わせて読むのもいいかもしれません。
自立とはどうしようもないときに「信頼できる誰かを頼れる」力のこと
一般的に言われている自立は「経済的自立」「社会的自立」「身体的自立」「精神的自立」の4つを指します。
しかし、一人ではどうしようもない時に「信頼できる誰かを頼れる」こともまた、自立だとわたしは考えています。
これを「心の自立」と呼ぶことにします。
家族だったり友人だったり恋人だったり、自分が信頼できる人をちゃんと頼れることってとても大切なことです。
芸人の又吉直樹さんが近畿大の卒業スピーチでこんなことをおっしゃっていました。
なかなか自分の思い描いていたような結果にならなかったりすることが社会に出ると本当に多い
ピース又吉卒業スピーチ「バッドエンドはない、僕たちは途中だ」平成29年近畿大学卒業式
真摯に向き合っているにも関わらずいじわるなことを言ってくる人も確実にいて、排水溝を見つめているだけの時間がみなさんにも来ると思う
ピース又吉卒業スピーチ「バッドエンドはない、僕たちは途中だ」平成29年近畿大学卒業式
自分がくたびれていたりつらくて立ち止まりたくなりそうになったりするときに、必ずと言っていいほどこの言葉を思い出します。
生きていたらどこかで、「しんどくてもうダメかもしれない」という瞬間が一度はあると思います。
自分一人の力ではどうにもできないこともあるかもしれません。
そんなときに誰かを頼れることは、立派な自立です。
「心の自立」をするためには何が必要か
反対に、誰にも頼らずに一人で解決しようとすることで、自分を追い詰めてしまい、結果として人に迷惑をかけてしまうこともあります。
自分はこうでなければならないという自分への期待や誇りがあるほど、そうではない弱い部分を誰かに見せて助けを求めるのはむずかしくなります。
「心の自立」をするには、「信頼できる誰か」の存在が必要です。
そして、その信頼できる人を見つけていくためには、次の2つのことをするといいと思います。
自分が本当に好きなことは何か、時間を忘れて没頭できることは何か、何が許せなくて、どんな生き方をしたいのか。
理解されなかったり共感してもらえなかったりすることもあるかもしれません。それでも自分の価値観を共有できる誰かがきっとあなたの近くにいるはずです。
わたしは器用な生き方ができないので、これらのことを一つ一つやっていくことで、まだ十分ではないにしても少しずつ「心の自立」ができるようになってきました。
自分の価値観をよく見つめておくことで、
思い通りにいかないとき、うまくいかないときに、
自分の弱さを誰かに打ち明けることができる。
弱さを認めることができることはある種の強さだと思います。
そのように、自分がピンチのときに誰かを頼れることが「心の自立」だとわたしは思います。
家庭環境が変わったり、友人に不幸があったり、自分自身が病気になったり。
そういったことがある度に立ち止まったとしても、前を向ける。
転びながらでも誰かに起こしてもらいながらでも少しずつ自立に向けて進んでいけるといいですね。
自立とは「自分の頭で考えて行動すること」|「自立」の考察②
人間は考える葦である
パスカル『パンセ』
どれだけお金を持っていても、自分の頭で考えて試行錯誤していないのであれば、自立しているとは言えないのかもしれません。
あなたは将来、必ず1,000万円を得ることができると確約されているとします。
一方は宝くじで当たった1,000万円、もう一方は、自分で生活のやりくりをして得た1,000万円です。
一つ選ぶとしたら、あなたはどちらの1,000万円を選びますか?
宝くじで当たった1,000万円を選びたくなりますよね。
わたしもそうです。
ですが、宝くじで1,000万円を得たとしても、多くの人は大した使い方ができないのではないでしょうか。
それは、自分の頭で考えて、試行錯誤して得たものではないからです。
反対に、自分でやりくりをして1,000万円を得たのであれば、きっとその人はこれからも自分で試行錯誤しながら自分が満足のいく生き方をすることができるでしょう。
例えばこれが、1億や10億であれば、理論上は「一生自分一人でも暮らすことができ、生活費も自分で払える」ようになります。
これも自立にはなります。
ただ、自分の人生についてちゃんと頭で考えて、行動するからこそ、心が満たされ、生活を楽しむことができ、豊かに「自立」していけるのだと思います。
自分の頭で考えて行動できたうえで、宝くじが当たったら最高ですが。笑
経済的・社会的自立だけでは本当の意味で豊かにはなれない|「自立」の考察③
経済的自立、社会的自立ができることは、生きていく上で本当に大切なことです。
お金がなくて、貯金ができなくて、苦しい思いをしているひとはたくさんいます。
だからこそ、当サイト「20money|ニーマルマネー」では、経済的自立に近づくためのノウハウを中心に発信しています。
ただ、残念なことにいくら経済的に豊かになったとして、立派な社会人として自立できたからと言って、本当の意味で豊かになれるわけではありません。
もし、思い通りの人生を歩むことができ、経済的にも自立し、毎日が充実して仕方ないという人がいるなら、それは本当に幸せなことです。あなたの才能だと思います。
ぜひ、その才能を自分のため誰かのために生かしてください。
でも、そんな人ばかりではないのも事実です。
経済的・社会的に自立していても、「何かが足りない」人は、「心の自立」が大切なことに気付けていないのかもしれません。
私自身、「心の自立」ができていませんでした。
それが原因で、たくさんの人に迷惑をかけてしまったこともあります。
そして、自分自身もたくさんくるしみました。
そうなると本当に、生きていて何も楽しくなくなります。
お金があっても社会的に自立しても。
経済的自立や社会的自立とちがい、「心の自立」を育てていくことはいつからでもできます。
例えば、もし10代の方がこれを読んでくださっているのであれば、自分がつらいときに信頼できる誰かを頼ってみてもいいかもしれません。
わたしは、いつか誰かにとってそんな存在になれるよう、「心の自立」を育ててあげられる人になりたいと思っています。
一緒に「自立」していきましょう。
まとめ|自立して豊かに生きるには「思考と試行」、「信頼と尊敬」が大切
自立とは何かについて解説しました。
自立とは一般的に「他の援助を受けずに自分の力で身を立てること」を意味します。
わたしにとっての自立は「自分の頭で思考して、自分の手足を使って試しにやってみること」です。
そして、
それでもダメなとき、一人ではどうしようもないときは、
信頼している誰かを頼って、
その人への尊敬の念をもち、
依存ではなくあくまで「共存」を目指す。
自立とはそういうことなのではないでしょうか。
自立することは目的ではなく手段です。
自立することを通して、自分の人生をより豊かなものにすることが本当の意味での自立だと、わたしは考えています。
本記事が、少しでもみなさんの生き方や考え方を見直すきっかけになっていましたら幸いです。
最後に、本記事を書くきっかけを与えてくださったNさんに感謝申し上げます。
ありがとうございました!
自立について考えるきっかけになる本
「だが、情熱はある」としてドラマ化もされた一冊。
若林さんが第二章で書かれていた「肯定ノート」を書くくだりは、まさに「心の自立」のためのステップです。
こちらも阿部寛さん主演でドラマ化された作品。
「MTVでも、見て行けよ」「生きていると全部が、元には戻らない」という章が「自立と共生」を物語ったようなエピソードです。
自分を見つめ直したいときに読みたい一冊。
「自分を好きになれない」「やりたいことが見つからない」など、自分の悩みに適した物語が全5話、収録されています。
物語形式なので読みやすく、自分の気になる章から読んでみるのがおすすめです。
他の記事もいっしょにお楽しみください
それではまたお会いしましょう♪
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